会社の命を受け、石綿作業主任者の講習を受けてきました。
私は今の職場では工事現場に出たことはありませんが、前職が製造業で設備担当で第一種衛生管理者に合格したこともあり、講習を受けることになりました。
石綿(いしわた・せきめん)・アスベストが健康被害を出すことは、なんとなく知っていましたが今回の講習で、「こいつはやべー…」となり、資格は取ったものの現場に出たくないです。
そんだけヤバいものだから、国は「知識があると認められた人=有資格者の指示のもと作業せよ」としているわけなのですが。
資格試験自体は簡単
石綿作業主任者の資格は2日間で11時間の講習を受け、その後に試験を受けて各科目4割以上かつ合格点60点以上獲得で合格です。
科目は4科目で、問題は選択肢3つから選ぶマークシート方式でした。
試験時間は30分ですが、問題数が20問と少ないので時間は余りました。
講習会場でも合格率は9割、落とすための試験ではないと念押しされました。
会社から「資格を取れ」と命令されている社会人としては安心のような、プレッシャーのような。
実際に受験した感想としては「これでどう落ちるんだ?」という問題でした。これは合格率9割。
事前知識なし、講習なしで試験だと難しいですが、11時間も講習を受けて、しかもその日のうちに試験ですからね。
講習中に爆睡しない限りは合格できまっせ。なお、寝ると強制退出&不合格な模様。
資格取得自体は問題ないのですが、問題なのが資格を取得したあとなんですよね。
奇跡の素材から時限爆弾へ
石綿は自然に存在する天然の素材で、不燃・耐熱・絶縁・耐薬品・耐摩耗・耐候性に優れ、他の素材と混ざりやすく、しかも織れる(=布になる)最高の素材だったわけです。
しかも天然素材でありながら大量に採取できたので価格も安い。
人間が素材に求める性能に応える最高に都合の良い素材!!まさに奇跡の素材です。
ですが、美しい花には棘がある。最高の素材は人体には悪い作用を起こします。
特に呼吸器(肺)に与える健康被害が明らかになるにつれて、石綿の使用が制限され、現在では製造・輸入が禁止されています。(研究用には使えますが。)
それも健康被害が出るのは10~50年後。奇跡の素材は時限爆弾だったわけです。
中皮腫はまじで怖い。喫煙者はいますぐ禁煙したまえ
今回の講習でいちばんショックを受けたのが「胸膜中皮腫」という悪性腫瘍です。
発症する原因がほぼアスベストに起因する病気です。
医師ではないのでかなりざっくりとした理解ですが、肺に水(胸水)が溜まって呼吸ができなくなってしまう病気で、石綿を吸い込んでから30~40年で発症するそうです。
講師の医師によると、自覚症状があって来院してすぐに亡くなってしまう人が多いようです。
印象に残っているのが「来月に検査しましょうって話していた人が、約束の日に検査に来ず、連絡したところ亡くなっていた」という話です。
しかもそれが特に珍しいことでもないというのです。それくらい発症から進行が早いそうです。
じっ〜〜くり、じっ〜〜〜くり忍び寄って、一瞬で命を奪う。なにそれ?怖過ぎません?
私の祖父が膵臓癌の末期に肺にも水が溜まるようになってしまい、ゼーヒューと呼吸していた時が本当に辛そうで。肺の病気は怖いなと思っていた記憶が一気に蘇りました。
喫煙している人は石綿を吸い込むと、非喫煙者に比べ肺癌・中皮腫のリスクが劇的に向上するそうなので、今すぐ禁煙してください。と言われつつ、休憩時間にタバコを吸っている人は「命知らずが過ぎる…」と思いますね。
肺癌になってもタバコをやめられない人が身近にいるだけに、タバコも相当怖い依存性ですけどね。
ともかく、石綿は吸入したらダメ!作業現場に入るなら保護具を絶対につけましょう!そして、作業主任者はそれを監督してくださいね!ということです。
監督者は保護具をしっかりつけていて作業員が保護具を面倒くさがるというのは現場あるあるですが、監督者は講習で話を直接聞くので保護具の重要性を認識できるけど、作業員はそこまで知らないというのも原因なんでしょうね。
安全規則は、先人の血で書かれている
過去に大量に使用された石綿を含む建造物・製造物を、現在は解体する時代になっています。
それだけに石綿の健康被害が認識されている時代でよかったなと思います。
健康被害があるとは知られていない時代だったら、保護具なしで作業していたと思うとゾッとします。
「安全規則は、先人の血で書かれている」という言葉があるように、規則があるのは理由があることを再認識した講習でした。
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